誰にたのまれたわけでも

誰かに言われたわけでも

ないんだけど

でも

いつも

自分を後ろに下げて

自分以外の誰かを

自分以外の何かを

そう

誰にたのまれたわけでも

誰かに言われたわけでも

ないんだけど

でも

いつも

自分は出さずに

自分は出せずに

ちゃんとあったんだけど

自分のしたいこと

自分の思っていること

自分の気持ち

自分の心

ちゃんと

ちゃんとあったんだけど

でも

出さなかったら

いつの間にか

出せなくなって

どれが自分で

何が自分で

どこに自分がいるのかも

分からなくなってきて

でも

だからって

止まることも

止めることも

できなくて

このまま

そのまま

どこにどう流されているのか

どこにどう向かっているのか

何も分からないまま

何も見えないまま

そんなときに

「どっちに行きたいの？」

なんて聞かれても

分からない

「どこに行きたいの？」

なんて言われても

分からない

「なにがしたいの？」

なんて言わないで

分からないから

きっと

わかってたし

きっと

わかってる

でも

分からない

本当に分からない

…

こっちを見てほしい

ちゃんと

気づいて欲しい

そして

止めてほしい

言って欲しい

大丈夫だよって

笑顔で言って欲しい

頑張ったねって

…

そんなの無理だって思ってた

そんなのあるわけないって

ずっとこのままで

ずっと誰にも気づかれないまま

ずっと誰にも知られないまま

止めることも、止まることもなく

このまま

そのまま

ゆっくりと沈んでいくだけ

どことも知れない場所へ

ただただ

日々に流され

日常に押しつぶされ

このまま

…

でも

それでも

それでもね

そんな私でもね

まだ

残ってるんだ

きっと

最期だと思うけど

まだ

ちょっとだけ

残ってるんだ

消えそうな

途絶えそうな

かすかな

火が…

雨に打たれ

風に吹かれ

もう

いつ消えてもおかしくない

小さな小さな

火が

「私も…」

私だって

思いはある

私だって

願いはある

私だって

気持ちはあって

私だって

心はある

ちゃんと

ここに

あるんだよ

でも

きっと

この声も

この思いも

この心も

届かないんだよね

きっと

どこにも

誰にも

届かないんだよね

きっと

ずっと

ずっと

思いっきり届いていたから

思いっきり見えていたから

大丈夫

ちゃんと

言葉にして

ちゃんと

目を見て

届けられて良かった

不思議なことって

あるんだよね

あなたは

何も言わなかったけど

ぜんぶ

そっくり

ちゃんと

届いていたし

見えていたから

大丈夫

もう

大丈夫

これからは

安心して

傷ついて、泣いて、叫んで

大丈夫

もう

素の自分を出しても大丈夫

そこからはじまり

ここからはじまり

情けなくて、ダメで、ヘロヘロで、ポンコツな自分を

そのまま

出して、出し続けてみて

それでも

笑ってくれたり

ちゃんと言ってくれたりする人

だけが

残るから

それが

友達だから

そのまま

素の自分を

そのまま

出して

それが

それこそが

「素敵」

なんだから

大丈夫

もう

大丈夫

安心して

磨かれていって

また

ね

ゆっくり

おやすみなさい

Sweet Dreams

神謝