玉葱日記

心優しき人よ…

心優しき人よ

あなたは

人知れず多く重荷を背負ってしまっている

誰に頼まれたわけでもなく

誰をかばうわけでもなく

ただ

人知れず誰かの重荷を肩代わりしている

「あなたに会うと楽になるわ」

「あなたに会うと何か気楽になれる」

「あなたにあると心軽くなる」

「あなたに会うと笑顔になれるんだよ」

そんな言葉と一緒に

いろんなものを背負ってしまって

楽になった人は

気楽になった人は

心軽くなった人は

笑顔になった人は

そんなことなど

あっという間に忘れて

「気持ちの問題だ」

「心の持ち方」

なんて思って

あっという間に自分のことだけ

そして

また

苦しくなったら

世界の終わりのような顔と想いで

倒れるようにやってきて

また

重荷を勝手に置いていく

心優しい人よ

あなたはまた

それを

静かに

人知れず背負っていく

どこに置いたらいいのかも分からず

どこに持っていったらいいのかも分からず

どこまでも

それを

静かに背負っていく

今日も

明日も

その重荷に気づいてくれる人

奇跡的にいるのかもしれない

でも

そんな状況に

気づけるほどの人も、また

同じように

背負ってしまっている人だったりする

心優しき人よ

その

あなたの背負った重荷は

あなた自身のものではない

だから

それは

ここに置いていってください




そして

その重荷は

ここから

ゆっくりと

流していってください

あなたが

その重荷に耐え切れなくなって

倒れてしまっても

その重荷を置いていった人は

自分のせいだとは気づかないでしょう

誰も

何の悪気もなく

ただ

あなたのところにまた

重荷を置いていく

誰も…

何の悪気もなく

だから

あなたは

誰にも言えず

どこにも置けず

苦しんでしまっているのだと思います

そうやって

少しずつ、少しずつ苦しさが重なり

いつの間にか

そこにフタをしてしまって

見ないように、見えないように

そうやって

いつの間にか

見ないものから、見られないものになって

出さないものから、出せないものになって

大きな大きな闇を

心の奥の奥に作ってしまう

あなたは言うでしょう

「もう、慣れましたw」

笑いにならない笑顔で

そして

少し苛立ち、少し恥ずかしがり、少し諦め

また

よいしょと背負って

行こうとする

どうか、その重荷はここに置いていってください


そして

清らかな流れに

そっと流してください

もう

あなた一人で背負える重さではない

もう

誰もが

誰かの重荷を背負っている場合ではない

自分の

自分のための重荷を

一生懸命

背負って

歩んでいくとき

それが

そここそが

必要なとき

誰かにやってもらった宿題と課題で

自分のテストの点数が伸びるわけではない

自分自身が経験して

初めて

自分自身の身になり

その後の道を歩める

力と、知恵と、体力を得ることができる

あなたに重荷を渡した人は

次のドアの入り口から

中に入ることができない

次の山を

一緒に登ることはできない

もし

一緒に登っても

その人は

途中で絶えてしまうでしょう

その重荷に耐え切れず

突然

重さをあなたに渡せなくなったから

突然

重さを誰にも渡せなくなったから

だから

心優しい人よ

あなたのために、その人のために

もう

自分のもの以外の重荷を背負わないでください

それは

優しさではなく

それは

親切ではなく

どうか

重荷を受け取らない強さを身に着けてください

黙っていると

また

静かに背負ってしまうあなた

どうか

笑顔で、無言で、静かに断る技術と強さを

身に着けてください

いすぽんは

いすぽんが経験してきている方法を

伝えることはできます

でも

それを

実際に

目の前で実践するのは

心優しいあなた

そして

そんなあなたは、今

もしかしたら

天使と悪魔の境界線に立っているのかもしれない

きっと

それほどまでに

追い詰められてしまうほど

あまりに

多くのものを背負ってしまってきたから

あと一歩で悪魔に

あと一歩で天使に

それほどまでに

ギリギリの日々の中にいるのかもしれない

世の中が

速く、荒く、激しく、暴風でいっぱいになっている

重荷で疲れ切って

余裕などなくなって

でも

なんとか…ギリギリ…なんとか…

心優しき人よ

どうか

その

どうしようもなくなった重荷を

思いっきり

ここに置いていってください

そして

思いっきり

ここから流してください

そして

大きく

大きく

深呼吸をして

美味しいものを食べて

自分の重荷だけを背負って

登っていってください

心優しき人よ

厳しい道は続きます

険しい登りは続きます

その道で

強くなっていってください

易い道、穏やかな道は

静かに弱っていく道

静かに沈んでいく道

心優しき人よ

あなたの強さを求める人が

これから増えてきます

あなたの言葉に支えられ

あなたの姿に導かれ

あなたの想いに共感し

あなたの後に続いてくる人が

これから増えてきます

心優しき人よ

あなたのその強さ

誰かの荷物を背負ってでも

歩めてこれた

その強さを

あなたの目の前に人にも

教えてあげてください


「あなたにも背負えるから、やってみて!」

「大丈夫!みんなそれぞれ背負えるの!」

「泣いてもいい、叫んでもいい!そのままでいいから、行くよ!」


そう

伝えてあげて

あなたがちょっと先に行って

その背中を

その姿を見せてあげてください

その姿を見て

その背中を見て

もしかしたら

その人はあなたに言うかもしれない


「冷たい人だ」

「ひどい人だ」

「最低」

「見捨てるんですか?」

「そんな人だと思わなかった」


そうして

あなたを睨み、あなたを恨み、あなたを傷つけようとすら

するかもしれない

それでも

そんなことを言われても

見捨てることも

見放すことも

置き去りにすることすらできない

心優しき人よ

どうか

胸を張って

そのまま進んでください

どうか

流れる涙を止めないで

そのまま進んでください

あなたは知っている

「人を変えることなどできない」

「人間にはそれぞれにタイミングがある」

もちろん

そんなことなど

ずっとずっと前から知っている

でも

でも

だからと言って

このまま歩んでいける?

このまま置いていける?

それとも

一緒にそこにいる?

もう

その場所にはいられないってわかっているのに

それでも

そこにいっしょにいる?

その場所は

もう

埋まってしまうと分かっていて

一緒に

その運命を受け入れる?

もしかしたら

ギリギリになって

その人は

あなたの上に乗っかってでも

自分だけは助かろうと

もがくかもしれない

それでも

そんな最期でも良いから

そこにいる?

その葛藤、その苦しさ、その切なさ

そして

その圧倒的な


孤独


絶望的な孤独…

誰にも伝えられない、誰にも分ってもらえないであろう

その想い

それはきっと

こんな音なのかもしれない

心優しき人よ

どうか

胸を張って

進んでください

不要なものは

全部

ここに置いて

多くの人のために

全て

ここに置いて

そして

自らと向き合う姿を

自らと向き合う姿を

自らと葛藤する姿を

その

美しく暖かい姿を

多くの人のために

見せてあげてください


どうか



心を込めて





神謝

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